スイミーを読んで元気をもらう。訳はあの谷川俊太郎の絵本。(スイミー)

誰のために効果のある絵本なの?
それでも前に進みたいと思っている人。
生き方の方向感覚を見失いかけている人など。

スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

絵本って、ビジュアルとことば両方からこちらに
ぐぐぐっと迫ってくる感じが時折するんですよね。
今回は、そんな絵本を紹介していただきました。

私がおすすめしたい絵本は、レオ・レオニの『スイミー』です。

一部の小学校の教科書にも載っていたそうなので、
ご存知の方も多いかもしれません。
何よりもまず、色彩が美しい絵本です。
見ているだけでも、楽しい気持ちになります。
少し早いかなと思いましたが、絵がきれいだから、
3歳になる遠方の甥にプレゼントしました。

お話の内容が伝わったかどうかはわからないのですが、
小さい子でも「おさかなのお話」と美しい絵は心に
感じるものがあったらしく、弟は「到着してすぐに
3回も読み聞かせをせがまれた」と言っていました。

次にお話の内容。詩人・谷川俊太郎さんの訳ですから、
とても簡潔に表現された言葉が、すんなりと入ってきます。
この絵本、実は知ってはいたのですがちゃんと読んだことはありませんでした。

読む前のイメージは「協力がだいじ」という話かな?
と思っていました。でも今回、プレゼントするにあたって
あらためて読み直して、ただそれだけではないと感嘆しました。

ひとりだけ色が違うスイミーは、金子みすゞの
「みんなちがって みんないい」に通じます。
個性を受け容れる話でもあったのです。

さらに大人の視線でもう少し思ったのは、
人生のどこかで誰しも必ず経験する「別離」の喪失感と
「新しい出会い」を疑似体験できるお話でもあるな、と。
たいせつな人を失ったときの呆然とした心理状態、
それでも美しいものに出会い新しい世界を知ることで、
前に進む気持ちを取り戻す。

スイミーの場合はそれが
「海の中を漂ってクラゲや海藻を見る」ことだったのだな、と。
心の深いところで納得します。

このように、大人でも子どもでも楽しめる、とても素敵な絵本だと思います。
小さな子どもでも伝わるので、年齢にかかわらず、どなたにもオススメしたいです。

余談ですが『スイミー』のこざかなたちは、
全部スタンプを押して描かれています。
海の中の海藻も、美しい模様の紙ナプキンに色を塗って押したような感じです。

そこで、甥にプレゼントするとき、消しゴムを彫って
「おさかな」スタンプもつけてあげました。
素人ですのでうまくは彫れなかったのですが、
面白がってくれたとのこと。

小さい人に贈るときは、余裕があればそんな
付録をつけることもオススメです。
読んで楽しく、自分も表現の楽しさを味わい想像することができる。
いろいろな楽しみ方ができる絵本ではないかと思います。

「スイミー」は本当に多くに人に愛されている絵本ですよね。
谷川俊太郎さんが訳を担当していたのですね。
きっと、ずっと本棚にしまっていてもいい絵本なのかもしれませんね。
自分のやっていることに、少し疑問を感じてしまっている時など、やる気と希望をもう一度与えてくれるのかもしれませんね。

〇谷川俊太郎さんって本当に絵本の巨匠かもしれません。こちらもおすすめ谷川 絵本。